筑後川およびその関連流域においては代かき期時の水利用調整が検討されており, その際, 現在の水利用実態を把握することが必要となる.本研究では, 人工衛星データ(RADARSAT)と水利システムの圃場区画, 水路網, 受益区域等の既存のGISデータから代かき水田の拡大傾向と水利システムの取水量の両者を検討し, 代かき時期の水利用状況を明らかにすることを目的とした.その結果, RADARSATデータを用いた代かき水田分布図から, 6月上旬より下流側から代かき水田が広がり, 1週間程度遅れて中流域へ代かき水田が拡大することが分かった.また, 水利システムの取水量の増加時期も1週間程度, 下流域の水利システムが中流域より先行していた.代かき水田の拡大傾向と取水量の増加傾向とは一致しており, 下流域が先行した代かき時期の水利用実態が明らかになった.