本稿では, 既存の田んぼダムの落水量調整装置を機能一体型と機能分離型に分類し, 両者の長短を比較すると共に, 新潟県見附市で供用していた従来型のフリードレーンを用いた落水量調整装置の抱える問題を解消する新たな装置の開発の考え方を整理し, その機能を検証した. 落水量調整機能と田面水深管理機能を分離した機能分離型の落水量調整装置には, ①大規模降雨時の確実な機能発現, ②小規模降雨時の水管理作業への支障の回避, ③流出抑制量の安定性の3点において優位性があり, 田んぼダムの持続性確保に有効であることを示した. そこで, 当該地区で採用されていたフリードレーン方式の機能一体型落水量調整装置の構造を抜本的に見直し, 機能分離型の装置を新たに開発した. 計算によってその機能を評価した結果, 従来型と比較して機能性および持続性の向上がもたらされることが明らかになった.