近年,コンクリート構造物では長期供用によって劣化や損傷が顕在化しており,劣化・損傷状況を簡易かつ正確に把握する必要がある.道路橋床版においては遊離石灰の把握が重要な課題の一つである.本研究では,竣工後50年が経過した道路橋RC床版を対象に,機械学習手法の一つである決定木を用いて遊離石灰の抽出を試みた.説明変数として輝度値およびDoG(Difference of Gaussian)フィルタ後の画素値という2つの特徴量を設定した.検討の結果,本提案手法は判別分析法の一つである大津の方法と比較して,正解率,感度,適合率,F値のすべての指標で精度が高く,正解率,感度,F値の3つの指標では0.8以上だった.このことから,本提案手法は遊離石灰の抽出において有用な手法であると考えられる.