農地中間管理機構関連農地整備事業による樹園地整備実施予定地区を対象に,聞き取り調査,土地利用調査,地権者・借り手へのアンケート調査から,事業への同意・参加理由を明らかにした.調査地区は傾斜地に立地する樹園地であり,土工量と地元負担の増大,および樹木の伐採に伴う無収益期間の長さにより,一般的に地権者の同意が得られにくい.これに対し,調査の結果,1)機構事業により借り手の意向に応じた好条件の樹園地が整備されることにより,樹園地の荒廃化に伴う土砂災害から地域を守りたい地権者と,条件の良い農地で営農したい借り手の意向が合致したこと,2)機構事業により地元負担金が求められない等地権者の経済的損失が少ないこと,3)JAによる借り手の掘り起こしや機構の仲介の下で長期貸借が保証される仕組みが,事業への同意・参加理由であることを明らかにした.