国営環境保全型かんがい排水事業にて整備された北海道東部の根釧地域における排水路及び排水路附帯施設である遊水池を対象に,2005年から2019年にかけて,地元小学校との協働で水生生物の生息状況調査を行った.調査の結果,環境省あるいは北海道レッドリスト掲載種を複数含む,魚類7科14種類,甲殻類3科3種類,両生類1科1種の合計11科18種類の水生生物が確認された.湿地環境の開発に伴い生息地が減少し,個体群の分断化や局所絶滅が進んでいるとされるエゾトミヨ,ヤチウグイ,エゾホトケドジョウといった希少種が高い頻度で確認された.このことから,地域に生息している希少生物の生息地の一つとして,当該施設が機能していると推察された.