農業農村工学会論文集
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研究論文
中山間傾斜地谷部の決壊事例に基づくため池決壊氾濫解析手法の検討
小嶋 創吉迫 宏竹村 武士李 相潤正田 大輔三好 学安芸 浩資
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2024 年 92 巻 1 号 p. I_29-I_40

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抄録

中山間地の谷部に立地するため池の決壊事例を対象として, 浸水痕跡調査の結果に基づき氾濫流況に影響を与えた因子を抽出し, それらの因子を組み込んだ氾濫解析によって痕跡に基づく浸水深からみて妥当な結果が得られるかを明らかにした.組込みを行った因子のうち, 降雨および家屋については, その反映の有無で痕跡箇所の最高水位に20 cm以上の差異が生じ, 解析結果の最高水位に及ぼす影響が大きいことがわかった.降雨については, 決壊時刻以降だけでなく集水域の洪水到達時間を考慮し先行降雨を反映させる必要があり, また, 家屋についても建物占有率に応じた粗度係数値を与える簡便な方法では妥当な最高水位は得られなかった.一方, 周辺ため池の反映の有無や, 土地利用を反映する粗度係数の違いは, 解析結果に与える相対的な影響度合いが小さかった.

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© 2024 公益社団法人 農業農村工学会
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