農業農村工学会論文集
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研究論文
試験法及び試験者による土壌粒度分析結果の不確実性がWEPPの侵食解析に与える影響
近藤 航樹川名 未紗山口 敦史松井 宏之大澤 和敏
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2025 年 93 巻 1 号 p. I_53-I_63

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抄録

土壌侵食のシミュレーションモデルであるWEPPでは,多くの計算過程で粒度が用いられる.WEPPの侵食解析結果に与える粒度の影響を明らかにするため,黒ボク土,国頭マージ,ジャーガルについて,比重計法,懸濁液圧力積分法,レーザー回折/散乱法の3つの方法で粒度試験を行った.試験法や試験者の違いによって異なる特徴を持つ結果を得た.また,粒度,有機物含有率,CECを変数として推定される受食係数と有効透水係数を計算し,WEPPを用いて平均年間土壌侵食量を算出した.受食係数と有効透水係数の推定値には粒度に対応した差異が生じ,算出された侵食量には試験法の違いによって最大で3倍程度,試験者の違いによって最大で2倍程度の差異が生じた.WEPPによって侵食量を適切に推定するためには,粒度試験において試料の分散処理,水洗いの工程を確実に行う必要がある.

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