抄録
開水路非定常流の偏微分方程式を最適制御問題における状態変数の支配式としてとらえ, 変分法の枠組みにおいて考察する. 終端時刻観測問題における最適性の条件を記述する最小原理を導出し, その随伴系を用いた表現を与える. 数値計算に利用するため, 状態系と随伴系を近似する有限次元スキームを提案する. 開発した理論を, ゲートを備えた仮想の水路網システムにおける最適制御問題へ応用し, 最小原理に依拠したゲート操作則の合理的な改善を行う. その過程において, 最小にすべき汎関数値の実際の変化は, 随伴系ならびに初期状態とゲートにおけるエネルギ散逸の変化から予測できることを示す.