抄録
1993年, 集中豪雨に見舞われた南九州では, いたる所で土石流が発生し, この地域は洪水によりかなりの被害を受けた. 今回の災害はシラス崖錐堆積物の浸透破壊によって特徴づけられた. この破壊機構を明らかにするために, 斜面に垂直な流出水に対する理論と実験の比較から動水勾配と斜面角の関係を検討した.
斜面角が内部摩擦角より小さい場合, 実験値と理論値はほぼ一致している. すなわち, 堆積物は斜面角が増すにつれてより小さい浸透力で破壊するようになる. またボイリングと表層すべりの2つの破壊形態の相違は斜面角が13度と20度の間で発生する. すなわち, より小さい角度ではボイリングが発生し, より大きい角度では表層すべりになる.