抄録
底面融雪の観測は比較的多く行われてきた.しかし底面融雪と他の要因による融雪との区別が困難であるため, 長期にわたる観測例は一部の厳寒地に限られ, 底面融雪が河川流出に与える影響を評価することは困難であった.さらに山地流域の多くの面積を占める森林内における底面融雪の観測はほとんど行われていない.
そこで根雪期間にわたり, 開けた気象観測露場と落葉樹林内に熱収支法にもとづく底面融雪推定方法を適用して日底面融雪量の推移を推定し, 両地点の違いを明らかにした.さらに降雪量を仮定して, 積雪深が底面融雪に与える影響を評価した.その結果は, 既往の観測例と定性的な一致をみた.