農業土木学会論文集
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水稲品種による複数角分光反射特性の相違
吉野 邦彦串田 圭司
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2000 年 2000 巻 205 号 p. 85-93,a2

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抄録

本研究では、水稲個体群草冠からの分光反射特性の1つである複数角分光反射特性を用いた水稲品種判別能向上の可能性を、地上での複数角分光反射特性測定データの統計的検定により議論した、解析データとして、土壌、水、施肥量、気象等の栽培条件がほぼ、均一と期待できる実験圃場内に移植、栽培した水稲14品種 (同一日に播種) うちの11品種について、出穂前の盛夏の同一観測日に測定した各品種の草冠からの複数角分光反射特性データを用いた。測定した波長は、400nmから850nmの範囲の1nmごとの反射係数である。また、主反射面での後方散乱、前方散乱の7方向 (±45度、±30度、±15度、0度) と主反射面と直交する鉛直平面での7方向 (主反射面と同様) の測定角度から測定した,
緑バンド (550nm~560mm)、赤バンド (675nm~685nm)、近赤外バンド (745mm~749nm) における分光反射係数を求め、水稲2品種の3バンドの複数角分光反射特性係数の平均値の間で、平均値の差の検定を行った。その結果、有意な差が認められた水稲2品種の組み合わせの数は、単に鉛直下向き反射係数データを用いた場合よりも、斜め方向から測定した反射率係数データを用いた場合の方が多かった。
以上、本研究の結果から、出穂直前で同一生育段階における水稲の品種は、斜め方向からの分光反射特性をも利用することにより、鉛直真下方向の分光反射特性よりも判別がより容易になるものと結論づけられた。

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© 社団法人 農業農村工学会
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