農業土木学会論文集
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エネルギー収支とCO2排出量を用いた農業副産物エネルギー化の評価
ライフサイクル分析の考え方を援用した稲わらリサイクル計画の事例的分析
小林 久山田 靖子
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2002 年 2002 巻 219 号 p. 321-327

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抄録
稲わらのリサイクルシナリオ (燃料ガス化, メタノール化, 発電, コンポスト化, 廃棄) を対象に, ライフサイクル分析の考え方を援用して, エネルギー収支, CO2排出量を試算した.水田1ha当りの稲わらを原料とした燃料ガス化, メタノール化, 発電の各エネルギー生産シナリオの‘純エネルギー生産量’は, それぞれ455 GJ, 15.4 GJ, 4.5 GJとなった.肥料投入を含む各シナリオのエネルギー収支は燃料ガス化とメタノール化がそれぞれ40.2 GJ/ha, 10.1 GJ/haの生産, 発電, コンポスト化, 廃棄がそれぞれ0.8 GJ/ha, 6.1 GJ/ha, 53 GJ/haの消費と試算された.生産されるエネルギーの消費までを含めたCO2排出量はメタノール化が最も小さく (11,614kg-CO2/ha), エネルギー化はいずれもコンポスト化, 廃棄より小さかった。これらの結果は農業副産物リサイクルの計画・評価において, 多面的視点が必要なことを示していると考えられた.
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© 社団法人 農業農村工学会
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