抄録
わが国の稲作農業を今後の国際競争に耐えるものにするためには, 農地の「利用集積」を行って「担い手農家」の経営規模を数10ha以上にし, 利用集積された水田を集団化して数ha以上の巨大区画にする圃場整備事業が必要と考えられる.そこで, 利用集積に同意した貸手農家の換地を集団化して巨大区画を創出した圃場整備事業の実施例を集めて調査し, 集団化のメカニズムを検討した.その結果,(1) 自作農家が多数残っている地区等では巨大区画は集落から遠い等の不利な条件の場所に配置され,(2) 貸手農家はこうした不利な場所への換地は基本的には受け入れないものの,(3) 所有規模がきわめて零細な貸手農家等はこうした換地を受け入れる場合があること, また,(4) 巨大区画の創出を要件とした補助金や小作料の増額はこうした集団化を促進すること等が明らかになった.