抄録
本研究では, 無機系混和材としてのフライアッシュ及びシンダーアッシュとを一緒に使用したときの水和・ポゾラン反応の特性を評価した.マッシブなコンクリートおよびセメントペーストの力学的特性変化に関与する混和材の違いを明確にするため, 粉末X線回折 (XRD) 及び走査型電子顕微鏡 (SEM) を利用してフライア・ソシュとシンダーアヅシュの微細構造とポゾラン反応を調べた。粉末X線回折の結果から, ペーストは基本的には, カルシウムシリケートゲル (C-S-H) で構成されていることがわかった。これはSEMによる観察からも確認され, そのマトリヅクスは密であり, 結晶質というよりもより非晶質であることが明らかとなった。シンダーアヅシュはフライアヅシュと同じポゾラン反応を示し, 水酸化カルシウム (CH) の水和物はフライアヅシュのようにシンダーアヅシュを包むだけでなく, シンダーアッシュ中の微細な孔に浸入していることが観察された。このことは, シンダーアヅシュがフライアッシュと類似の化学成分であるため, より多くのC.S-Hゲルを生成させ, コンクリートの強度発現に寄与することを意味している.SEMによる観察の結果・セメントとフライアッシュが同量のペーストよりも, コンクリートの方が均質で, 強度への寄与が高く, セメントペーストのみのものと比較すると, フライアッシュとシンダーアッシュ中の細粒分がペーストと骨材の間の微細構造を改良する機能を果たすことがわかった。