農業土木学会論文集
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農地土壌の分散凝集特性とその影響要因について
赤江 剛夫後藤 光喜石黒 宗秀
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2002 年 2002 巻 219 号 p. 357-364

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抄録
農地土壌の濁水発生防止は, 農地整備事業の実施に当たり極めて重要な問題である.本論文では, 農地土壌の分散性を規定する支配的な基礎的物理化学特性を明らかにするため, 中国四国地方の代表的な土壌型の農地土壌の粘土分散率を評価して基礎的特性との関係を検討した.その結果, 比表面積と陽イオン交換容量と粘土分散率の相関が高いことを見いだし, その原因を分散凝集理論に基づく表面電位の変化, および沈降に対する安定性の観点から考察した.表面電位の計算では, 塩・電位差滴定法により求めた永久荷電量を面荷電とした.また, 比表面積が大きく粒径の小さい土壌ほど沈降に対する動的安定性が高いことが推定された.農地土壌に石膏を添加すると凝集が促進され, 粘土分散率が低下したが, 石膏添加が表面の荷電特性にどのような影響を与えるかを検討した.石膏添加による凝集効果が大きい土壌では, 面電位の変化量およびpHで決まる粒子端電位の変化が大きいことが認められた.
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© 社団法人 農業農村工学会
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