抄録
攪拌槽内で形成されるフロック構造の再配列、密度増加の機構を明らかにする目的で、急速凝集系におけるフロックの成長過程を追跡した。実験は、球形度、単分散性に優れたポリスチレンラテックス粒子を用いて行い、フロック投影図におけるフロック内2点最大距離Dmとフロック構成粒子数乞との関係を、ブラウン運動のみによる凝集と攪拌条件で凝集が進行する場合とについて、特に凝集初期の小さいフロックについて比較した。その結果、攪拌条件下では、ブラウン運動によるフロック形成に比べ、衝突クラスター間の再配列による密度増加が凝集初期の段階より検出された。このような密度増加は層流条件下のせん断凝集では生じないことから、攪拌槽中のフロック成長においては、乱流の圧力や速度の変動と流体力学的相互作用が互いにカップリングする形で、フロックの密度増加がもたらされていると結論づけた。