抄録
メコン川は典型的なモンスーン気候下にある河川の特徴として雨季・乾季できわめて大きな水位変動を呈する。本研究では洪水氾濫との農業形態と関係を分析するため, 氾濫過程を再現できる基礎モデルを構築した。洪水氾濫解析モデルはメコン川流域モデル, トンレサップ湖モデル, デルタ水収支モデルの3つのモデルから構成される。メコン川流出モデルとして, 3段4列の下に下層地下水1段を考慮した3×4+1型のタンクモデルをPakse地点からKompong Cham地点までの流域に適用した。このモデルによってメコン川本流からデルタ地帯への流入量, トンレサップ湖水位の季節変動とモデル地帯への流入量, そしてデルタ地帯での水収支などが良く再現された。最後に上のモデルから得られる流入量からデルタ水収支モデルの構築を試みた。これらによりデルタ地域の洪水氾濫モデルの基本構造の大枠を提示することができたものと考える。