抄録
流動電位法でゼータ電位を求めたガラスビーズ及び鹿沼土を飽和充填したカラムに, 電気泳動法でゼータ電位を測定したポリスチレンラテックス (PSL) 粒子懸濁液を様々な塩濃度で流し入れ, その捕捉割合をコロイド粒子及びカラム充填材の表面荷電特性に照らし合わせて解析した.ゼータ電位測定より, ガラスビーズ及びPSL粒子は負に帯電し, 溶液の塩濃度の低下に伴ってその絶対値が増大することが確認された. 一方, 鹿沼士では, 塩濃度によらずほぼゼロで変化しないことが明らかとなった. この結果は, カラム通過実験において, ガラスビーズよりも鹿沼土でのPSL粒子の捕捉割合が大きいことと対応しており, 土粒子表面の電位が低いことが鹿沼土の効率的な捕捉能を発現する機構であることが示された.また, 走査型電子顕微鏡による鹿沼土の表面形状の観察から, PSL粒子と同スケールの凹凸が確認され, 鹿沼土の高い捕捉能に寄与していることが示唆された.