乾燥地域における塩水を用いた節水灌漑農業への寄与を目的とし, 既に提案された2深度からの地中灌漑法の有用性を評価するために, 従来の1深度からの地中灌漑法と比較し, 塩水を用いたダイズ栽培実験によって作物生育, 水利用効率, 土壌中の水分・塩類分布および塩収支について検討した. 実験後期における乾物収量, 葉面積指数および水利用効率は2深度地中灌漑法が1深度地中灌漑法よりも高かった. また, どちらの灌漑法を用いても実験後期には地表面に塩類集積を生じたが, 2深度地中灌漑法を適用した場合, 作物体直下土壌の塩類濃度を抑制できた. すなわち, 2深度地中灌漑法は実験後期における作物の生長阻害を低減し, 1深度地中灌漑よりも水利用効率を向上させることが示され, 土壌塩類環境の管理手法となりうることが示された.