2003 年 13 巻 1 号 p. 23-32
伝統的な文化財の情報記述には独自の方法が蓄積されているが,組織的な教育が不十分であり,学術的な議論も少ないため,情報の共有が困難な状況が見られる.小論ではまず博物館等が刊行する図版目録において採用されている項目を紹介し,それを博物館データの国際標準案と対照しながら,同一と認められる項目の整理を試みた.項目の呼称はさまざまで,どの項目が使われているかは,分野によってばらつきが大きいが,整理後の項目数は比較的少数にとどまり,基本的な文化財データについては博物館間で横断的に共有できる可能性は大きい.各項目は,依拠する学問によって記述方法に特色があるので,現在使われている主要な記述方法を紹介し,今後の情報共有を図る際に想定される問題点を指摘する.