抄録
日本の博物館における調査研究、展示、貸借、閲覧、修理などの学芸業務に関する手順は、個々の館によってさまざまな方式があり標準化されていない.これは事務の合理化のみならず、外部への情報提供についても多大な不都合を生じている.小論では、博物館における主要な学芸業務である展覧会の「貸借」業務を素材として取り上げて、その実態を外観する.その上で図書館サービスにおけるILL(Inter-Library Loan)との対比でIML(Inter-Museum Loan)という概念を提起し、それが業務を合理化するばかりでなく、外部サービスの改善にも役立つことを指摘する.