抄録
土地家屋調査士は、他人の依頼を受けて、土地や建物がどこにあって、どのような形状か、どのように利用されているかなどを調査、測量して図面作成、不動産の表示に関する登記の申請手続などを行う国家資格者である。また、土地・建物・道路・地域など生活の場や生産拠点において、困りごとや、近隣とのトラブル時の相談相手としても気軽に相談を受けることができるという国民に身近な資格者であるが、土地家屋調査士という名前が分かり辛いなどの理由から、国民の認知度は、それほどは高くないというのが現状である。ゆえに、本稿では、歴史や諸制度を振り返りながら土地家屋調査士の役割や変遷について述べる。さらに、司法制度改革という潮流の中で生まれた、弁護士恊働型土地家屋調査士会ADR(境界問題相談センター)の概要や展望についても述べる。