抄録
物語の構造をデータ化し,データベース等に実装する上で,物語研究で古くから用いられてきたプロットを一つの構成の単位とすることは有望と考えられる.しかし,プロットの構成要素である物語の機能の粒度については一意的には定まりにくいという問題があった.そこで本論文ではプロットを含む物語構造を多層的,再帰的なデータ構造として定義することを提案した.また,物語における複数の登場人物間の複雑な関係性をよりパターン化して記述するためにアクタントセオリーを用いて人物の目的ごと,プロットにおける機能ごとにそれぞれアクタント間の関係性を記述することで,より詳細かつ 汎用的な物語の構造の記述ができる可能性を指摘した.