2014 年 24 巻 3 号 p. 342-364
本研究は,日本語の文章における表記および送り仮名の個人差に基づく著者判別の手法を提案 する.これらの特徴は日本語の文章に特有である.著者判別を評価するための解析対象は,大学生が書いた文章と,小説である.提案手法を,既存の手法で判別能力が高いとされる読点の使い方および品詞3-gramと比較した.その結果,表記・送り仮名を用いた判別は,既存の最良の手法と同程度の判別能力を持つことが明らかになった.提案手法は,既存手法とは異なる観点から著者の文体的特徴を捉えることができる.