2021 年 31 巻 3 号 p. 395-410
急速な高齢化の進行に対応すべく,厚生労働省は地域包括ケアシステムの構築と地域医療構想を推進している.この取組みにはかかりつけ医を中心に,急性期病院,介護老人福祉施設などの間での連携が不可欠であり,その充実のためには相互の情報共有が重要となる.現行の診療情報提供書(様式11)の内容は施設間の連携にとって要となる情報であるが,患者紹介時のみの一過性の利用に止まっている.今後の情報共有と二次利用のためには,この提供書のデジタル化が必要であり,そのためにはまず提供書の記載状況の現状把握が求められる.そこで本研究では,地域医療支援病院(S 病院)への診療情報提供書1000 件を対象に実際の記載状況を精査し,様式11 の基本項目への準拠性について記載手段(手書き,PC 入力),文字数,及び紹介元医療機関規模の面から検討を行った.