2021 年 31 巻 4 号 p. 452-461
「AI戦略2019」においては,文理を問わず全ての大学生・高専生に対して初級レベルの数理・データサイエンス・AIを習得することが掲げられた.大規模かつ多様な学生に対する教育課程を設計するには,モデルとなるカリキュラムだけなく,一段高い視点からの教育課程の設計が必要となる.そこで本稿ではデータサイエンス・プロセスに着目する.データサイエンス・プロセスを提示することにより,教育者も学習者もデータサイエンスの基盤となる学術の構成に依存せず,データサイエンスの目的を明確にして学修すべき内容を設計することが可能となる.特に「データ解析と推論」に対して「データの取得・管理・加工」が比肩して重要であることも理解可能となる.最後に,データサイエンス・プロセスとソフトウェア開発モデルを比較し,新しいデータサイエンス・プロセスの可能性にも触れる.