2023 年 33 巻 2 号 p. 180-185
近年,物体としてあるアナログ資料やそのデジタル化資料だけでなく,生成される時点からデジタルデータであるborn-digital資料が急増している.とりわけ,スマートフォンなどの普及により,個人が生成・所有するデジタルデータの量的規模が拡大していることから,個人所有のborn-digital資料も膨大な量であることは明らかである.しかしながら,その質的特徴の把握や収集から保存,活用に至るまでの取り扱いについては議論が少ない.報告者らは,地域において生成・所有されるデジタルデータをborn-digital地域資料(Born-Digital Regional Memory: BDRM)と定義し,収集・継承に向けた取り組みを開始した.本稿では,特にBDRMの継承について,着想に至った経緯(背景)と全体像,現時点で想定される技術的・社会的課題,将来的な構想を提示する.その上で,BDRMを収集する取り組みである「でじきお」の,山形における実践内容の報告を行い,課題と展望を示す.