2025 年 35 巻 2 号 p. 145-150
現代の書籍推薦システムは,主に閲覧履歴や評価に基づいており,文脈の欠如や新規ユーザへの対応の難しさ,多様なニーズへの限界といった課題を抱えている.そこで本研究では,書籍の選択や並び,配置といった本棚の構成にユーザの特性が反映されるという視点に着目し,本棚が個人の関心や価値観,思考の特徴をどのように映し出しているかを明らかにすることを目的とする.そしてその知見をもとに,複数のユーザに共通する特徴を抽出・統合した「本棚モデル」を構築し,推薦手法への応用を目指す.これにより,従来の協調フィルタリングやコンテンツベース推薦とは異なる,文脈的かつ個別性の高い推薦,多様性や意外性に富んだ推薦を可能にすると考える.