2021 年 77 巻 5 号 p. I_293-I_302
本研究では,静脈物流の特性に応じたモーダルシフト策を検討するために物流センサスの調査データを使用して車両,鉄道,船舶の3モードを対象とした数量化理論第II類による輸送機関の選択要因を行った.さらに,輸送費用を目的関数とする重回帰分析を行った.その結果,鉄道へのシフトを考える際には輸送費用ではなくコンテナ利用や遠方輸送など排出形態が問題であること,一方,船舶は輸送費用がネックとなっていることから素材産業と共同輸送を行うなど費用低減に資する対応策を検討する必要があることがわかった.また,輸送機関の選択モデルによるモーダルシフト可能量を算定し,業界が示す二酸化炭素排出量の削減目標値以上の削減率である18%減を得た.