情報知識学会誌
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物語の「カット」における「描写距離」に影響を与える文体的特徴の分析
吉井 史夏村井 源
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2025 年 35 巻 2 号 p. 197-206

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抄録

 物語において,内容が同じでも表現が変わると読者に与える影響は大きく変化する.そこで本研究では,読者に与える印象に大きく寄与すると考えられる「描写距離」の概念に着目し,描写距離に影響する文体的特徴を抽出した.分析では,物語文章を「カット」単位で分割し,描写距離と文体的特徴を付与したデータを対象とした.基礎統計やχ二乗検定の結果,語り手と視点を登場人物が担うか否か,そして会話や地の文で描かれる内容が描写距離に影響を与えることが示唆された.また, データに対して重回帰分析を行った結果得られた回帰式を用いて描写距離の計算式を作成し,実際に描写距離を算出したところ,各カットに含まれる文体的特徴を反映した描写距離が出力されることが確認された.さらに,データに対して共起分析を行ったところ,描写距離が近いほど地の文や会話文において様々な要素が共起しやすいことや,逆に描写距離に依存しない文体的特徴が存在することが示唆された.

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