2026 年 36 巻 2 号 p. 206-213
本研究は, 古代ローマのラテン語碑文を対象に , LLMを用いた歴史知識の構造化抽出を試みたものである . 碑文研究の知見に基づき, 人物・共同体・経歴・恵与行為・関係性を記述するデータモデルを設計し , JSON形式での情報抽出を実施した . 対象はアフリカ・プロコンスラリスおよびヌミディアの12都市, 7,597件の碑文で, 二段階の構造的検証と機械的修正を経て整備された . さらに独自オントロジーに基づく RDF変換により , 総トリプル数 314,456の知識グラフとして整備した . これにより, 碑文内容の計量的な時系列分析や, 社会的身分・関係性による内容ベースの検索など, 従来のメタデータ中心のデータベースでは実現できなかった新たな可能性が開かれる.