Demographic and Health Surveys(DHS)は,低中所得国を対象とした大規模世帯調査であり,母子保健や栄養など多様な健康指標を個票レベルで提供するオープンデータである.一方で,公衆衛生以外では認知が進んでいない.本研究では,タンザニア DHS(2022年)を用いて 5歳未満児の発育阻害,低体重,過体重の有病率を州別に算出した.さらに,低栄養と過栄養を統合した合成指標を構築し,栄養不良の二重負荷( DBM)の空間分布を地理情報システム( GIS)により可視化した.その結果,DBMの分布には州間で顕著な差が認められ,特に Njombe州において低栄養と過栄養が同時に高い傾向が確認された.オープンデータ化の国際的な推進とQGISなどのオープンソースソフトウェアの普及により,公衆衛生においても諸外国の地域課題分析や政策提言が,市民に広く開かれていることを例示した.