2026 年 36 巻 2 号 p. 242-249
魔法少女作品は1960年代から現在に至るまで多様な変化を遂げ,日本のアニメにおける代表的なジャンルとして確立されてきた.従来の魔法少女研究は,ジェンダー論や社会学的視点など人文学的分析が中心であり,物語構造を数値化して定量的に分析する試みは十分に行われてこなかった.本研究は, 1960年代から2020年代にかけて日本で制作・放送された魔法少女アニメ 23作品を対象に,物語構造および世界設定の変遷を定量的に明らかにすることを目的とする.分析手法として,まず作品の世界設定に対して階層的クラスタリングを行い,対象作品を 3つの主要なクラスタに分類した.さらに,各クラスタの物語機能カテゴリに対して N-gram分析を適用し,各クラスタの特徴を抽出した.分析の結果,魔法少女作品は,魔法を日常的な問題解決の手段として用いる構造から,複数人による戦闘や対立を主軸とする構造へと変化してきたことが示された.