本研究は,高等学校歴史教育「世界史探究」大項目 B(2)「古代文明の特質」を対象に ,歴史教育内容論の知識構造を分析するものである .学習指導要領および複数の歴史教科書叙述を資料とし ,「文明」「農耕」「環境」「文化」「都市」「身分」「王権」「宗教」「経済」の主要概念を抽出する .それらの概念間に形成される構成関係・因果関係・時系列的関係を整理し ,概念ネットワークとして可視化することで,教育内容がいかなる論理で構造化されているのかを解明する .とりわけ「文明」概念の中心性と結節構造に着目し ,古代史学習が社会参加に必要な思考力・判断力・表現力をいかに形成し得るかを検討する.以上を通じて ,歴史教育研究における知識構造分析の方法的可能性を提示する .