日本国際看護学会誌
Online ISSN : 2434-1452
Print ISSN : 2434-1444
医療通訳の実態と質向上に向けた課題
-群馬県における派遣型医療通訳の実施報告書を事例として-
長嶺 めぐみ 森 淑江瀧澤 清美
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2020 年 3 巻 1 号 p. 32-42

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抄録
背景: 現在我が国の在留外国人の数は年々増加し、今後も外国人労働者の受入れ拡大に伴い、増加が見込まれている。また訪日外国人の数も増加し、観光地の病院などを患者が受診する機会も増えた。医療機関は国際化対応を迫られており、医療通訳の配置などが望まれる。しかし、現在日本には十分な数の医療通訳者はおらず、その教育面でも様々な課題を抱えている。
目的: 病院で行われている医療通訳の概要を明らかにし、質の高い医療通訳の提供に向けた養成上の課題を明らかにする。
方法: 平成22-23年にかけて、特定非営利活動法人地域診療情報連携協議会と群馬大学医学部附属病院の協力で行われた医療通訳の実施報告書の分析を行った。
結果: 平成22年度には30名だったのべ患者数は、平成23年度には227名に増加し、通訳件数も同様に32件から266件に増加していた。通訳を要請した診療科も12科から25科に増加した。通訳内容では、「治療に関わるもの」「病院の手続きに関わるもの」「社会福祉制度に関わるもの」「入院生活に関わるもの」「患者の日常生活に関わるもの」の5つの大項目に大別され、「治療に関わるもの」が82.1%と最も多かった。
考察: 医療通訳の利用件数が増加した背景には、医療従事者の意識の変化が伺えた。医療通訳の利用に抵抗を感じなくなる一方、その利用の仕方には多くの課題が見られた。医療現場においては、診断に至るまでのプロセスに通訳介入のニーズが最も高い。医療通訳を教育していく上ではこのプロセスのサポートが十分にできるようにしていくことが求められる。
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