抄録
本研究の目的は,大学教員養成におけるグローバル教員研修が,大学院生(現職教員・大学生)の「教員21世紀型スキル」に関する自己効力感にどのような変容をもたらすかを明らかにすることである。研修は,1. 対話型ボトムアップ研修,2.フィンランドの教育改革研修,及び,3.教科連携のCLIL・STEAMに拠る授業訪問を特徴とする。次世代の児童・生徒が,学びを実社会へ転移するような教育を実現する教員の21世紀型スキルとは何か,国際間比較をとおした俯瞰的な研修を目指す。研究方法は,『Edu 21st:教員21世紀型スキルの自己効力感尺度』の47質問項目をもちいた事前と事後の変容,およびポートフォリオ記述分析である。その結果,Edu21st(3因子構造)で差が認められ,「分析的デザイン思考能力」で最も変化が大きいことが明らかになり,異分野連携の協働中に起こる異質な考えに対する葛藤への価値付けが見られた。