保険学雑誌
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子供をとりまく社会の変化とPTA安全補償制度の盲点
-『新・教育基本法』からみた実態に合った商品開発を中心として-
早川 淑人
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2012 年 2012 巻 616 号 p. 616_165-616_184

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抄録

PTA団体では安全補償制度として各種保険を採用しているが,社会環境の変化と活動の多様化から,活動の実態から乖離した補償内容になりつつある。特に,法律と保険約款における「学校管理下」の解釈の相違,授業補助や少子化による他社会教育団体と連携するPTA活動では,保険金・給付金支払いの可否が問題になることがある。本稿では,PTA活動の現状を調査分析し,『新・教育基本法』の観点から必要とされる補償内容が実際に商品化されるまでの安全補償制度上の諸問題を考察し,(1)団体活動上は,活動方法が社会の流れとともに変化する点,(2)補償上は,保険商品が作られた当時とは社会背景が異なっている点,(3)安全補償制度上は,学事歴と保険始期が一致しないなどの運営上の問題点があると指摘した。これらは子どもの成長過程に応じた教育課程単位でのPTA専用商品の開発や,社団法人日本PTA全国協議会などの全国組織を契約者にすることで一定の解決が図られると思われる。

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© 2012 日本保険学会
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