保険学雑誌
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企業年金ガバナンスの進展と最適な制度運営
丸山 高行
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2013 年 2013 巻 620 号 p. 620_281-620_300

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抄録
企業が企業年金をもつことには,どのような意義があるだろうか。たとえば従業員の勤労意欲を高めたり,生産性の向上につながることによって,企業価値を高めるといえるだろうか。企業年金の存在意義を確かめるためには,企業年金ガバナンスについて考察することが不可欠である。企業年金を漫然ともつだけでは,企業価値は高まらない。企業年金ガバナンスと真摯に向き合い,その実効性を高める努力を重ねて初めて,企業価値の向上につながるのではないか。
企業価値を最大化する企業年金ガバナンスを考えることによって,最適な制度運営の姿が明らかとなる。企業年金運用の帰趨を左右する政策アセットミックスは,企業年金を含めた企業全体の最適資本構成を考える中で,最適積立比率という形から具体化される。また,企業年金ガバナンスは,監視システムの整備,制度運営者へのインセンティブ付与といったコストを伴う。このコストをエージェンシー・コストととらえ,コストと企業価値のトレード・オフ関係から,最適なリスク管理体制やインセンティブ設計,さらには最適な制度体系の答えも見えてくる。
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© 2013 日本保険学会
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