保険学雑誌
Online ISSN : 2185-5064
Print ISSN : 0387-2939
ISSN-L : 0387-2939
ARTICLES
韓国における保険契約の解釈原則
韓 基貞李 芝妍
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 2016 巻 633 号 p. 633_61-633_84

詳細
抄録

本稿は,韓国において紛争が頻発している保険約款の解釈問題について,判例を中心として考察するものである。判例は,公正解釈,客観解釈,作成者不利益の原則などを保険約款の解釈原則として適用する。
判例の傾向をみると,第一に,判例は公正解釈を適用する際,保険保障に対する保険契約者の合理的な期待の保護と,保険技術に基づく当事者間における合意の尊重を主に考慮する。判例は両者の間でいずれかの側に偏らず,適切なバランスを模索していると思われる。
第二に,判例は平均的な顧客の理解可能性と保険団体全体の利害関係を客観解釈の主な基準にしている。判例は前者を主な基準としながら,後者で適切に補完する立場であると思われる。
第三に,判例は公正解釈,客観解析などを優先的に適用して約款内容を明らかにするよう最善を尽くしても,約款内容が不明確である場合のみに作成者不利益の原則を適用する。その結果,作成者不利益の原則を適用した判決は極めて稀である。

著者関連情報
© 2016 日本保険学会
前の記事 次の記事
feedback
Top