保険学雑誌
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大規模乗合代理店と所属保険会社の責任
遠山 聡
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2016 年 2016 巻 635 号 p. 635_43-635_60

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抄録

平成26年保険業法改正において,保険募集人に対する体制整備義務が新設された。この背景にあるのが保険募集チャネルの多様化・大規模化である。保険業法283条は,保険募集人の加害行為について所属保険会社の損害賠償責任を規定したものであるが,独立的な立場で保険募集業務を行う,銀行や来店型ショップといった大規模な乗合代理店等が登場するに至り,同条が本来予定していた状況とは大きく異なっているのが現状である。本稿は,同条の解釈適用に関するいくつかの問題について検討したものである。結論としては,同条の責任を広く認めたうえで,求償権を適切に行使することによって,最終的な負担調整を行うことが望ましいのではないかと考えている。しかし,実質的な指揮監督関係にない大規模乗合代理店の加害行為に対する責任を認めることは問題も多く,立法論としては適用範囲や免責となる場合を明確に規定することが必要である。

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© 2016 日本保険学会
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