インターンシップ研究年報
Online ISSN : 2433-1996
Print ISSN : 1881-1663
大学におけるインターンシップの教学的正統性 : 正課科目・単位認定の経緯と論理をめぐって(高良記念助成論文,I 論文・研究の部)
長尾 博暢
著者情報
ジャーナル フリー

2009 年 12 巻 p. 51-58

詳細
抄録

本稿では、実態の多様化が指摘されて久しい日本の大学インターンシップに対するひとつの分析的理解を試みた。すなわち、正課教育としてインターンシップが存立しうる要件をインターンシップの「教学的正統性」と表現し、正課科目・単位認定という教学上の関与を各大学がどのような経緯や論理に基づいて行っているのかについて、文献調査と聞き取り調査をもとに明らかにした。その結果、大学におけるインターンシップの教学的正統性は、「教育効果・アウトカムの射程:学習・研究支援/移行支援」および「既存の正課教育との関係性:独立的/補完的」という2軸のクロスで構成される4つの類型(「基幹的教育志向」・「意識形成志向」・「学修保障志向」・「進路保障志向」)により整理することができる、という知見を得た。この知見は、インターンシップを正課教育として位置づけるうえで、プログラムやカリキュラムが単体で発揮する教育効果だけではなく、既存のアカデミックな教育体系との関係性の文脈で教育的意義を創出することが可能であることを示唆するものである。本稿は、多様な実態ゆえ把握が困難にみえた日本の大学インターンシップを理解するための方途を提示したほか、企業主導型のそれとの比較や弁別における判断指標を示した。

著者関連情報
© 2009 日本インターンシップ学会
前の記事 次の記事
feedback
Top