インターンシップ研究年報
Online ISSN : 2433-1996
Print ISSN : 1881-1663
インターンシップから職業統合的学習(Work Integrated Learning)への展開可能性
―研究誌からみた学会の研究動向に着目して―
江藤 智佐子手嶋 慎介椿 明美
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2021 年 24 巻 p. 21-39

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抄録

日本インターンシップ学会は研究領域の拡充を目指し、2013年に職業統合的学習への英語名称The Japan Society of Internship and Work Integrated Learning に変更したが、その後研究領域はどのように展開したのか。本研究の目的は、インターンシップ研究に焦点を当て、学会英語名称変更前後の研究動向からその展開状況を把握し、学会研究の特徴を明らかにすることである。研究方法としては、日本インターンシップ学会と隣接する2つの学会(日本ビジネス実務学会、日本キャリアデザイン学会)の研究誌に掲載された2005~2020年度までの論文等をドキュメント分析し、比較検討した。

その結果、インターンシップの主体となる「学習者」、「教育機関」、「労働市場」の3つの視点からみた研究動向の特徴としては、近年になるほど実証研究が増えてきており、学修成果の可視化など文教政策に対応した教育効果をエビデンスとして示すアプローチが2018年度以降増加の傾向がみられた。また、制度・政策をテーマとした研究アプローチは日本インターンシップ学会の特徴でもあった。実践を研究対象とする学会では、設立当初しばらくは学会のコアテーマ探索期として多種多様な事例や研究アプローチが混在していたが、10年以上経過した周年事業を節目に、学会名称を問い直すシンポジウム等が開催され、研究誌の査読基準も定まってくることから、学会独自の研究水準が確立され始めるという共通性がみられた。

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© 2021 日本インターンシップ学会
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