2021 年 24 巻 p. 41-49
本稿の目的は、インターンシップを通じた「学びと成長」の実証分析の枠組みについて現状を整理し、今後の課題を提示することである。具体的には、(1)インターンシップを通じて得られる学修成果、(2)それが生み出されるメカニズム、という2つの視点から先行研究を概観し、実証分析の枠組みの体系化を試みた。 インターンシップを通じて得られる学修成果の視点からは、吉本(2020)で示された学修成果指標・職業コンピテンシーとレベルのマトリクス・モデルにもとづき、インターンシップを通じて得られる学修成果としてコンピテンシー、社会人基礎力、エンプロイアビリティの位置付けを整理した。コンピテンシーの階層性(汎用的コンピテンシー、領域特殊的コンピテンシー)を提示し、そこに包含される概念として社会人基礎力とエンプロイアビリティを位置付けた。その上で、領域特殊型コンピテンシーとエンプロイアビリティに関する実証分析の蓄積が今後の課題であることを指摘した。また、インターンシップを通じて得られる学修成果が生み出されるメカニズムの視点からは、学術的成果にもとづく仮説生成型のアプローチと、質的方法論にもとづく仮説生成型のアプローチを取り上げその具体例を示した。インターンシップの研究視座の体系化と総合に向けて、両アプローチにもとづくインターンシップ研究の実証分析の方法論を確立することを今後の課題として指摘した。