2021 年 24 巻 p. 71-79
本研究の目的は、初職に定着している者、早期離職行動をした者を比較し、初職に就いた企業・組織での入社前のインターンシップやアルバイトの就業経験が、大卒の早期離職率減少に寄与しているのかどうか明らかにすることにある。大卒社会人3年目(2016・2017年入社)882名対象の質問紙調査に基づき分析を行った。その結果、入社前の就業経験がなかった者と比べて、入社前に職場の中長期インターンシップを経験した者は「条件ショック」、「仕事ショック」、「他者能力ショック」、短期インターンシップを経験した者も「仕事ショック」、「他者能力ショック」といった入社後リアリティ・ショックの軽減に効果があったことが示された。また、早期離職行動も抑制されていることが明らかとなった。一方、アルバイト経験に関しては、インターンシップ経験と同じようなショック軽減はみられず、離職行動も抑制しないことが示された。