2021 年 40 巻 2 号 p. 89-93
目的 : 大腿骨転子部骨折においてshort femoral nail (SFN) の理想的な挿入位置は明らかでない。そこで3Dテンプレーティングソフトを使用しSFNの理想的な挿入位置を検討した。
方法 : 人工股関節全置換術を施行された患者のうち, 健側が正常大腿骨である47例を対象とした。術前CTデータから大腿骨の3D骨モデルを作成し, SFNの挿入シミュレーションを施行した。SFNを近位髄腔中心に挿入する群 (中心群) と可能な限り前方から挿入する群 (前方群) でSFNの大転子での挿入位置, 頚部でのラグスクリュー (LS) の通過位置, 頚部後方からLSの距離, LSの逸脱の有無を比較した。
結果 : SFNの大転子での挿入位置は中心群, 前方群でそれぞれ後方から平均33.2%, 47.7%であり, LSの頚部での通過位置は後方から平均31.2%, 49.2%と中心群で有意に後方であった (P<0.001)。頚部後方からLSまでの最近接距離は平均3.5mm, 6.1mmで前方群で有意に大きかった。LSが頚部皮質骨と干渉する症例が中心群で4例存在した。
考察 : 髄腔中心にSFNを挿入した場合LSは頚部後方を通過する。そのため大転子前方からSFNを挿入した方が良いが, 髄腔形状から前方挿入には限界がある。
結語 : LSを可能な限り頚部と骨頭の中心を通るように挿入するための理想的なSFNの挿入位置はほぼ大転子中央である。