2024 年 43 巻 3 号 p. 304-312
目的:関節リウマチ(RA)患者は骨折の発生頻度が高く,日常生活動作低下の原因となっている。本研究の目的は,ステロイドの継続投与が脆弱性骨折の発生リスクを増加させることと,ステロイドからの離脱が骨折リスク低減に有用であることを実臨床で確認することである。
対象・方法:対象患者は2022年の4月から7月の間に岡山市立市民病院整形外科を受診し,病歴が2年以上であるRA患者538例(男性114例,女性424例,平均年齢68.4±13.3歳)であった。立った姿勢からの転倒か,それ以下の外力で生じ,疼痛など有症状がある臨床的脆弱性骨折の罹患状況を調査した。脆弱性骨折の年齢別罹患率を男女別,ステロイド投与歴別(非投与群,離脱群,継続群)に検討した。さらに,ステロイド投与期間の長短により離脱群,継続群をそれぞれ離脱S群と離脱L群,継続S群と継続L群に細分類して比較した。
結果:脆弱骨折は119例(22.1%)にみられた。性別の骨折罹患率は,男性8.8%,女性25.7%であり,女性の罹患率が高かった。加齢やRA罹病期間も罹患率上昇に影響した。ステロイド投与歴別の罹患率は,非投与群,離脱S群,離脱L群,継続S群,継続L群でそれぞれ16.4%,17.0%,25.0%,40.5%,54.8%であった。継続群は非投与群に比べて有意に骨折の罹患率が高かったが,離脱群は差がなかった。特に離脱S群は,継続群より有意に罹患率が低かった。また,骨折例は,身体障害の程度が不良であった。
考察:RA治療において,ステロイド継続投与により脆弱性骨折の罹患率は上昇し,身体障害の程度も悪化する。ステロイドからの比較的早期の離脱は,骨折罹患率を低下させる。ステロイドの投与は可能な限り短期間にすることが望ましい。