2025 年 44 巻 1 号 p. 3-8
目的:大腿骨頭壊死症(ONFH)では他部位にも骨壊死を合併することがあり,解剖学的に異なる3部位以上の骨壊死を認めるものは多発性骨壊死(MFON)と呼ばれる。本研究ではステロイド関連ONFHについて,定点モニタリングデータ(厚生労働省ONFH研究班運用のレジストリ)を用いてMFONに関連する因子を検討した。
方法:2009年10月から2023年6月に全国43施設からレジストリに報告されたONFH4,986例のうち,ステロイド全身投与歴があり,他部位の壊死の検索が行われた658例(平均年齢46.4歳,男性294例,女性364例)を対象とした。検討項目はMFONの頻度,骨壊死の部位,またMFON群とONFH以外の骨壊死を認めない群(Non-MFON群)の2群比較を行いMFONの危険因子を評価した。
結果:MFONを35例(5.3%)に認めた。主な骨壊死の部位は膝関節35例(100%),肩関節24例(68.6%)であった。Non-MFON群は458例あった。MFON群で有意に年齢が低く,女性の割合が多かった(P<0.01)。ステロイド使用期間・最大使用量・パルス療法の有無,習慣飲酒歴,喫煙歴,病型・病期分類に有意差は認めなかった。罹患疾患はMFON群で全身性エリテマトーデス,血液腫瘍の患者が有意に多かった(順にP<0.05,P<0.01)。多変量解析の結果,若年,女性,血液腫瘍の罹患が独立した危険因子であった。
考察:ステロイド使用歴のある若年,女性,血液腫瘍患者ではMFONを発症する可能性が高く,全身検索を考慮すべきである。