日本関節病学会誌
Online ISSN : 1884-9067
Print ISSN : 1883-2873
ISSN-L : 1883-2873
原著
ステロイド関連大腿骨頭壊死症に併発する多発性骨壊死のリスク因子
―患者レジストリシステムからの報告―
大高 圭司竹上 靖彦大澤 郁介今釜 史郎福島 若葉坂井 孝司
著者情報
ジャーナル フリー

2025 年 44 巻 1 号 p. 3-8

詳細
抄録

目的:大腿骨頭壊死症(ONFH)では他部位にも骨壊死を合併することがあり,解剖学的に異なる3部位以上の骨壊死を認めるものは多発性骨壊死(MFON)と呼ばれる。本研究ではステロイド関連ONFHについて,定点モニタリングデータ(厚生労働省ONFH研究班運用のレジストリ)を用いてMFONに関連する因子を検討した。

方法:2009年10月から2023年6月に全国43施設からレジストリに報告されたONFH4,986例のうち,ステロイド全身投与歴があり,他部位の壊死の検索が行われた658例(平均年齢46.4歳,男性294例,女性364例)を対象とした。検討項目はMFONの頻度,骨壊死の部位,またMFON群とONFH以外の骨壊死を認めない群(Non-MFON群)の2群比較を行いMFONの危険因子を評価した。

結果:MFONを35例(5.3%)に認めた。主な骨壊死の部位は膝関節35例(100%),肩関節24例(68.6%)であった。Non-MFON群は458例あった。MFON群で有意に年齢が低く,女性の割合が多かった(P<0.01)。ステロイド使用期間・最大使用量・パルス療法の有無,習慣飲酒歴,喫煙歴,病型・病期分類に有意差は認めなかった。罹患疾患はMFON群で全身性エリテマトーデス,血液腫瘍の患者が有意に多かった(順にP<0.05,P<0.01)。多変量解析の結果,若年,女性,血液腫瘍の罹患が独立した危険因子であった。

考察:ステロイド使用歴のある若年,女性,血液腫瘍患者ではMFONを発症する可能性が高く,全身検索を考慮すべきである。

著者関連情報
© 2025 日本関節病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top