2026 年 45 巻 1 号 p. 11-20
目的:Portable NavigationのひとつであるNAVISWISS(NAVISWISS社.スイス)は,術中の予測骨切り量の評価が可能である。本研究の目的は,NAVISWISSの正確性評価と,その機能の特性と術前徒手牽引X線像を利用したgap techniqueでの人工膝関節全置換術(以下TKA)を報告することである。
方法:対象は2024年4~12月にNAVISWISSを用いてTKA(京セラ社Initia PS型22膝,CR型3膝)を施行した25膝とし,内反21膝,外反4膝だった。検討項目はインプラント設置精度,術前後可動域とKOOSとした。また,内反膝に対してPS型で施行した症例においては,脛骨をmechanical alignment(以下MA)骨切り時と脛骨3°内反骨切り時のテンサーでの内反角を計測した。さらに内反膝に対して,術前単純徒手牽引X線像を元に決定した大腿骨遠位を内反骨切りした症例のテンサーでの内反角,外反膝に対して,Navigationでの予測骨切り量を加味して大腿骨遠位を外反骨切りした症例のgap値について報告した。
結果:インプラント設置誤差は大腿骨冠状面が0.3±0.9°,大腿骨矢状面が1.1±1.2°,脛骨冠状面が0.6±0.8°,脛骨矢状面が0.7±0.5°といずれも有意差を認めず精度は良好だった。可動域,KOOSも術後有意に改善を認めた。内反膝に対するPS型での脛骨3°内反骨切り時の内反角は伸展で2.1±1.1°,屈曲90°で2.9±1.2°,脛骨MA骨切り時は,伸展位3.3±1.2°,屈曲位4.6±1.8°と,3°内反骨切りの方がバランスは良好だった。さらに術前徒手牽引X線像を元に骨切り角を決定し,大腿骨遠位2°内反,脛骨3°内反で骨切りした内反膝の1例のテンサーでの内反角は伸展1.8°,屈曲90°で2.2°で良好であった。また,外反膝の1例では,大腿骨遠位予測骨切り量を元に,骨切り角度を解剖軸に垂直よりも2°外反に調整することで,外側骨切り量を増やし,joint lineを上昇させずに良好なgapの獲得が可能だった。
考察:NAVISWISSは精度の高い骨切りだけでなく,大腿骨遠位と脛骨近位の予測骨切り量が評価可能である。その特性を利用してMA法での正確なアライメント骨切りが可能であると同時に,予測骨切り量に応じて冠状面での大腿骨脛骨の内外反の角度調整をすることで伸展位での良好な内外側バランスやgap調整が可能な有用なツールと考えられた。