2007 年 18 巻 1 号 p. 13-16
腸管は、表皮と同じく生体にとって外界との接点に当たる。外界との遮断を主目的とした表皮組織との違いは、栄養素や水の吸収に適した単層円柱上皮から構成されている点である。そのため、外界の構成要素である細菌との相互作用の様式も表皮とは異なっている。しかも、その相互作用が種々の液性情報等を通じて腸管組織を超えて全身に及ぶことが示唆されている。食事と腸内細菌によって形成されたある腸内環境は、それに対応した宿主の生理応答を惹起するが、それは健康にとって望ましい場合もあれば望ましくない場合もある。プロバイオティクスやプレバイオティクスは、腸内環境の変化を積極的に利用して種々の保健効果を得ようとする方法論である。