日本乳酸菌学会誌
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秋期セミナー講演内容2
オランダ ワーゲニンゲン大学留学報告
藤井 敏雄
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2007 年 18 巻 1 号 p. 7-12

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抄録

筆者は2003年10月より2005年12月までオランダ ワーゲニンゲン大学のWillem de Vos教授のもとに留学した。当時世の中はプロバイオティクスが大きなブームになりつつあり、弊社もLactobacillus paracasei KW 3110というプロバイオティクス菌を小岩井乳業社、昭和女子大と共同開発した。筆者もその開発に携わっていくなかで、宿主やその腸内菌叢とプロバイオティクス間のコミュニケーション研究が重要になっていくであろうという漠然とした予感があった。しかし自身は乳酸菌に関してはまだ駆け出しであり、また弊社は乳業会社ではなかったため、社内的な蓄積も乏しかった。このような環境が外国に出るしかないという思いを強くさせたのである。留学というと筆者自身のなかでも若手研究者の登竜門というイメージがある。筆者は入社してすでに20年近くたっており、年齢的な不安もあったが、思い切ってこの分野で当時最先端と思われたde Vos教授におそるおそる留学伺いを送ったところ、予想外に快く受け入れていただいたのである。
会社生活に慣れきっていた筆者にとって、外人ポスドクとしての生活は必ずしも楽なものではなかったが、新しい知識を得、経験を積む喜びは苦しさにまさるものがあった。そして慣れるにつれ、日本とは違うオランダの研究システムが筆者の目には新鮮に映った。そこで本稿では筆者の経験したオランダの研究システムの特徴について紹介したいと思う。

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